通信 第27号

自然再生協議会通信 第27号を発行しました。

1.第22回総会開催!記念講演が復活しました
  • 四万十川自然再生協議会の総会は、活動成果の報告や各年度の計画等を審議する場だけではありません。毎回、加盟団体会員他の学びの場としての「記念講演」を同時に開催してきました。設立当初から、自然科学、文化、防災など様々なテーマで続けてきたこの学びの場も、コロナ禍には勝てず、昨年度までは休止していましたが、このほど復活させることができました。
  • 今回は、四万十市役所に勤務し、大学時代からスジアオノリの研究を続けている辻祐人さんに「四万十川で想うこと-良い川とは?-」と題して講演いただきました。大阪出身、大学時代に四万十川に出会い、そのまま四万十市に移住した辻さん。スジアオノリ収穫量の減少を何とかしたいと、平岡雅規高知大学教授との共同研究で辿り着いた答えが水温上昇、すなわち地球温暖化。どうしようもないという挫折感はあったものの、「自然は変化するものでどうしようもないこともある」と悟られたそうです。その一方で、「皆さん一人ひとりの心の中に大切と思える自然があり、それを守ろうと思う人が多かったことが、清流と呼ばれる所以では?」と、重要なメッセージをくださいました。
  • 守りたいものがあるから、守られる。その想いが集まって自然豊かな四万十市がつくられているのでしょう。あなたの守りたい自然は何ですか?

総会も滞りなく終了しました。

  • 令和5年度活動報告
  • 令和5年度会計報告及び会計監査報告
  • 役員改選
  • 令和6年度事業計画(案)
  • 令和6年度予算書(案)
  • 報告:ツルの飛来について
2.コロナ禍のりこえ Re-start!!
  • 令和5年05月20日:四万十川自然観察会
  • 令和5年10月11日:入田ヤナギ林一斉清掃
  • 令和5年10月28日:四万十川自然観察会
  • 令和5年11月18日:四万十の水辺八十八ヶ所バスツアー
  • 令和5年11月25日:四万十つるの里祭り
  • 令和5年12月10日:愛媛県内子町河内自治会視察受け入れ
  • 令和6年02月14日:四万十川流域生態系ネットワーク推進協議会に会長が参加
  • 令和6年02月15日:菜の花まつり会場整備
  • 令和6年02月23-24日:入田ヤナギ林 菜の花まつり
  • 令和6年03月02日:第22回総会
3.再生協会長日記
  • 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上、季節性インフルエンザと同じ5類に移行したことから、高知県科では様々な活動が復活した。未だインフルエンザと同時に潜在的流行の傾向にあり、予断を許さない状態ではあるものの、我々再生協も皆様のご協力によりコロナ前とほぼ同様の活動を行うことができた。また、設立20周年の冊子も完成し、先輩諸氏が築き上げた諸行事の軌跡をまとめることができた。
  • 現在65団体が加盟する再生協は、設立当初から主に四万十川下流域の課題に対し、国土交通省と行動をひとつにしながら取り組んできた。しかし、川は上流から下流へと脈々と流れて太平洋へ注がれていく。令和6年3月の総会の記念講演では、講師の辻氏が、スジアオノリ収穫量の近年の激減に高水温が影響している可能性に触れるとともに、生き物が川をのぼる(遡上)視点の重要性にも言及された。私は再生協に関わり始めた当初から、上中流域との対話の必要性を感じてきたが、このような学びの中から、地球全体の急激な気候変動やそれに伴う環境変化により、流域住民の暮らし、生物の行動も変わりつつあることを実感した。そして、これからは四万十川全体の会議や行事も取り入れながら、従来の取り組みを見直すことも必要ではないだろうか、という思いをより強くした。そのためには、年齢に逆らいながらエネルギーを結集して取り組む必要があると感じている昨今である。
4.特派員レポート

「四万十市の植物学者 さわらぎ先生の語り草」を観覧しました

  • 令和5年7月1日から9月26日まで、四万十市郷土博物館で、再生協の副会長、そして顧問を務められた故 澤良木庄一先生の回顧展が開催されました。
  • 先生の生い立ちから植物研究の足跡、四万十川での自然再生活動、日本防災植物協会の設立等、多岐にわたるご活躍の様子が、写真、直筆の野帳や植物画、最終道具などとともに展示されていました。
  • 先生が使っていた机もあり、自宅の庭にある書斎兼事務所で、先生自ら美味しいお茶を淹れてくださり、入田の河畔林や四万十川の植物について語る先生のお姿が思い出され、胸が熱くなりました。

(高知市 芳之内祐司特派員)

四万十川自然再生協議会通信 第27号

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